スマートシティふくちやま 生涯学習市民講座 スマホ・タブレット活用初心者講座(所感1)
2021/10/15

はじめに

2021年10月2日、「スマートシティふくちやま 生涯学習市民講座 スマホ・タブレット活用初心者講座」がスタートしました。全30回の講習のうちまだ4回しか修了していませんが、ここまでの経緯と、現時点での所感(1)をメモとして残しておきたいと思います。

経緯

本学は地域密着を標ぼうしており、情報学部としても地域に貢献する様々な活動に取り組んでいます。そうした活動は、我々のほうから問題発見のために現地に出向き調査を開始するというケースもありますが、地域に住んでいる方々がお持ちのニーズに基づいて活動が開始されることも少なくありません。そのひとつに「スマホの使い方を教えてほしい」という要望があります。いまどきは、高齢者でも多くの人がスマホを持っています。むしろスマホ以外の電話機(いわゆるガラケー)を買うほうが難しくなってきているほどです。ところが、スマホを使いこなしているかというと、なかなか難しいのが現状です。なにかいろいろ使えそうな話は聞くけれど、どうやるのかわからない。本屋さんで解説書をみても、なにやら難しそう。自分が知りたい部分だけでいいから、誰か教えてほしい・・そう感じる人は多いようです。そこで市役所生涯学習課が中心となって市民向け(特に高齢者向け)のスマホ教室の企画が進められました。それが本件です。

実は通信キャリアやメーカーが有料のスマホ教室を開催している例もあるのですが、そこに参加するとなると敷居が高いと感じる方も少なくないようです。その点、福知山市内には10か所の公民館があり、定期的に市民講座を開催しています。たとえば「剪定教室」「クレイアート教室」「手作りパン教室」「子供将棋教室」「バドミントン教室」・・これらの講座は大変人気を博しており、定員を超える申し込みのために抽選にせざるを得ない講習会も少なくないそうです。このように地域公民館で開催される講座は地域住民にとって身近な存在になっています。本件も、この市民講座の一環として開催されることになりました。ひとつの地域公民館で1回あたり2時間、合計3回開催、10か所の公民館で総計30回の講座が予定されました。

当初、この講座は8月から開催される予定でしたから、私たちも夏休み中に講習会が開催されることを前提にアシスタントを募りました。しかしながら2020年から続くコロナ禍は2021年8月の時点でもまだ続いておりました。京都府には緊急事態宣言が出されて公民館も閉鎖、当然、市民講座も開催できない状況が続きました。緊急事態宣言が延長されるたびにスケジュールを組みなおして対応しましたが、10月からは後期の授業が始まるため大学生のスケジュール調整が徐々に困難になりはじめました。さらに、このまま10月も緊急事態宣言が継続すると2022年1月中に全30回の講習会を完了することができなくなり、事業全体が中止になる可能性もでてきていました。が、幸い10月1日に緊急事態宣言は解除され、なんとか開催に漕ぎつけました。ただ、大学生アシスタントが集まりやすいのは授業のない土日であったため、開催は10月2日~12月12日の土日が割り当てられることになってしまいました。

所感(1):学生諸君の活躍

授業の内容や授業で工夫した点、名札の導入、参加者からのフィードバックについては別稿で述べたいと思います。ここでは学生諸君について触れておくことにします。結論から言えば、彼らは参加者から非常に好評です。「xxを試してみよう」といった実習課題が出たとき、参加者のモチベーションを維持するのは「自分でもできた」という実感です。その意味で、できるまでサポートに付き合う体制がどうしても必須です。20名の参加者に対して5人~7人の学生が懸命に廻ってくれたおかげで、参加者個別のサポートを提供でき、時間内に目標とした操作をやってみることができていました。参加者から「子供たちに聞いても面倒がって教えてくれないし、同じことを何度も聞くので怒られる。でもここでは学生さんたちが何度も丁寧に教えてくれた。とてもよかった。」とのお言葉をいただいています。毎回の講習の最期にアンケートを書いていただいていますが、ほとんどが学生に対する高評価です。

ただ、これは意外と重労働です。学生はほとんどがiPhoneを使っており、androidを使っている者は極端に少数派です。一方参加者はほとんどがandroidで、iPhoneは極端に少数派です。しかもandroidといってもいわゆる「らくらくホン」と呼ばれる独自のインタフェースを持つ機種が多く、学生が初めて目にするインタフェースであったはずです。それにもかかわらず柔軟に対応してくれたのは、単にアルバイトとしてやっているだけではなく、使命感と責任感を持って取り組んでいるということだと思います。

まとめ

参加者ごとにスマホの機種は異なりますし、操作の習熟度も違います。スマホでやりたいことも違いますし、そもそもスマホを習熟することに対するモチベーションからなにからすべてが違うので、プロジェクタを使った座学だけでは十分な効果を上げることはできません。本件が地域に貢献できたとすれば、それは参加した学生諸君の努力に負うところが大きいと言えます。

今後の課題

スマホの使い方は、スマホのマニュアルを隅から隅まで読めばある程度分かる内容もあります。しかしマニュアルを隅から隅まで読み込むなどということは通常はででないでしょう。そもそも便利なアプリの存在を知らなければ検索して探すのだって容易ではありません。仮に入門書を読めばわかるような内容でも、自分でそれを書店で買い求めて自分で勉強するなんていうのは多くの人にとっては敷居の高い話でしょう。

必要なのは「つまづいたときにすぐ聞ける」という環境かもしれません。そこで我々は、学生が「すまほ相談員」として各公民館に常駐する(もちろんリモートで)ということができるよう、システム開発を進めています。順調に進めば年度末には報告できる予定です。(山本吉伸;2417文字)

参考

  1. 生涯学習課
  2. スマートシティふくちやま 生涯学習市民講座 スマホ・タブレット活用初心者講座 チラシ
  3. 両丹日日新聞10/06